理想的な日本画の手順

サトルです。今回ご紹介するのは梟を描いた山田さんの日本画。理想的な日本画の手順で描かれましたので、制作途中の画像もご覧下さい!

山田 岩絵具/和紙・パネル

こちらをじっと見つめる二羽の梟。まだひな鳥でしょうか。右は警戒しているようで、兄弟を守る様な凛々しい佇まいです。一方で左の方はゆったりと座りこんでいて、つぶらな優しい瞳はこちらの心を見透かしている様。慈愛に満ちた暖かさを感じます。梟が「森の哲学者」と呼ばれる様に、他を寄せ付けない独特の雰囲気を醸し出しています。

背景からの光の表現は見事と言う他ないでしょう。梟の羽毛の表現と同時に左から柔らかい木漏れ日が当たる情景を、アクのない自然なタッチで表現されています。梟の好む静かな森に風が吹く音が聞こえる様子を、明るい緑で爽やかに表現しました。

制作過程を見ていきましょう。
左 まずは骨描き、隈取での墨の描写です。骨描きの時に大切なのは、ただモチーフを線で囲んで塗り絵の線を作るのではなく、モチーフの質感や動きを線だけで表現することです。梟の線と木の線を見比べてみるとわかりやすいですね。どちらも曲線ですが、梟の方は毛の流れに合わせて払う様な筆の動きでフワッとした質感をしっかり暗くして上手く表現しています。それに対して足元の木は長いストロークの線で丁寧に固め、葉は薄い墨で明るく仕上げています。梟はしっかり暗くしているのに対し、葉は薄い墨で明るく仕上げています。
日本画の絵の具は透明度が高いので、下塗りで暗くしておくと明暗の強弱が付けやすくなり、線だけで質感や動きを表現することが出来ると、後に絵の具をスムーズに塗ることができます。

左から2枚目 青い地塗りと完成図を比べて見ると、全く違う色味で描いていますね。油絵を描く時にベースで全く違う色を塗るのと同じで、完成した時に深みのある色にする為に違う色を塗っています。

3枚目 青でベースを作った後に水色の岩絵具で不均一に塗る事でマチエール感と空の色を作り、そこから手前のモチーフを描く事で木々の間に見える空を自然に表現しています。風景を描く時はこの様に奥のモチーフから描いていくとスムーズに行くでしょう。油絵やアクリル絵の具も下の色を塗り潰せるので、同じ様に奥から描くことが出来ますが、透明水彩は出来ませんので注意してください。

右 暗い青のベースから水色、緑、茶色などで暗めに描いた後、明るい色で描写していますね。日本画の特性で、明るい色ほど絵の具の粒子が細かく、細密な描写がしやすいので、暗い色を塗ってから明るい部分を細かく描くのがおすすめです。梟の白い羽の部分をよくみて見ると筆跡がよく分かりますね。暗いベースの上から白い毛を描く事で、毛の色の違いと質感を一手で表現できます。

こうして日本画のプロセスを見て見ると、意外と油絵と似ている部分が多いですよね。先日藝大の教授が、日本画の定義は「岩絵具を使っていること」と仰っていましたので、油絵のような描き方でも問題無いのだと僕は思いました。また日本画を描く機会がございましたら、是非今回開設したプロセスを参考にしてみてください!