
出町 彫塑
ナツメです。展覧会場でも異彩を放っていた出町さんの立体作品、インパクトある存在感でしたね!
以前彫塑用の水粘土で片手を制作された経験を活かし、今回は頭部と両手を模型用の軽量石粉粘土で制作されました。
両手で顔を覆っているため、鑑賞者が動くことで完全に顔が覆われたり表情が見えたりと、角度によって受け取る印象が大きく変わります。両手で頭を抱え込み、「悩み・苦しみ・後悔の念」のような葛藤にも感じられますし、指の間からそっと覗くようなその姿から「怖いけれど見てみたい」という人の中にある好奇心にも感じられます。
前回のブログでは立体作品の「自然な形を保つ難しさ」について触れましたが、今回はそれに加えて「全体をどう見せるか」という意識が強く伝わってきます。頭部に加えて両手と要素が多いため、一つ一つのクオリティのみならず全体のバランスが求められる制作でしたが、正面・左右の三方向からスケッチを行い、どの角度から見ても破綻しないよう慎重に確認しながら進められました。以前の手を制作した時の経験が造形の精度として活かされていらっしゃいます。
初めての頭部制作ということもあり、粘土の量やボリュームの扱いには試行錯誤があったと思いますが、それでも形を探りながら丁寧に進められたことで、説得力のある仕上がりになりました。
ちなみに展覧会に出品される際のタイトルは『こわいものみたさ』でした。上記の写真で当てはめると、右の角度が該当しそうですね。皆さんはこの人物をどのように鑑賞されるでしょうか?