視線の先には

城内 油彩

大竹です。今回ご紹介させていただくのは、城内さんの油彩作品です。

白馬に乗った笑顔の子どもが、緑の小道をこちらへ向かってくる穏やかな情景が描かれています。モデルは作者のご家族でしょうか。親しみのこもった視線が感じられ、画面全体にあたたかな空気が流れています。

遠くの風景はやわらかい白に包まれ、木々や山々の輪郭が霞むように浮かび上がっています。その淡い空気の層が、手前にかけての草の明るい緑との対比を生み、深い奥行きを作り出しています。奥から手前へと徐々に濃くなる緑のグラデーションは、画面に自然な遠近感を与え、まるで風が草原を渡るかのような広がりを感じさせます。
細やかでありながらも柔らかい筆使いにより、子どもの白いシャツや馬の毛並みには淡い光を含んだ絵肌の美しさが見られます。特に白馬の描写は、身体の立体感や筋肉の流れを繊細な陰影で見事に表現しています。また白い毛並みの中にも、ほんのりと入れられた暖色により、温かな体温が感じられるような色使いになっていますね。

奥からこちらへ向かってくる子どもの姿は、まるで少しずつ大人へと歩みを進める成長の過程にも重なるように思います。その視線の先にはどんな未来が広がっているのでしょうか?静かな希望を宿したその表情が、見る人の胸にあたたかく残ります。