心も走り出す風景

大坪 油彩

ナツメです。今回は月曜大人クラスより大坪さんの作品をご紹介します!車が好きな大坪さん。ご自身で撮られた写真を元に描かれました。

坂道を下る青い車の先には田んぼが広がっています。見ているうちに、車のエンジン音や風の流れまで感じられるようです。遠くに光が差している光景からは、ドライブの途中で「この先には何があるんだろう」と胸が高鳴る瞬間をそのまま切り取ったように感じられます。

マンガの集中線のように一点に向かって雲や田んぼが伸びているため、視線が手前下部から上部へと誘導され、遠近感を強く感じる構図になっています。画面の端に配置された車も描き込みの情報量が多いおかげでしっかりと視線が行き、手前はハッキリ、遠くはぼんやりと差をつけて描写することでよりダイナミックな奥行きが生まれました。

そしてなんと言ってもツヤツヤと光る車体がとても魅力的!好きなだけあって、車の存在感とリアルな描写が見事。マフラーやワイパー、ナンバープレートに至るまで手を抜かず、試行錯誤しながら細やかに描かれています。いつまでも鑑賞したくなるような魅力があり、見れば見るほど愛情を感じます。

坂の向こうに続く光の道は、見る人にも“この先へ進んでみたい”という気持ちを呼び起こしてくれます。描く喜びがそのまま見る人に伝わる、清々しい一枚です。