
まなは 高1 岩絵具/和紙・パネル
大竹です。最近は涼しさとともに日が暮れるのも早くなり、1日が短く感じられるようになりましたね。
さて、今回ご紹介するのは、学生2人による日本画作品です。
まずは、高校1年生・マナハの作品「水辺に浮かぶ紫陽花」。
中学生の頃から戦略的に制作に取り組んできた彼女ですが、今回もその緻密な計算と技術が光ります。暗い水面に浮かぶ紫陽花は、柔らかく光を受けて静かにたたずみ、画面に強い明暗のコントラストを生み出しています。
よく見ると、顔を出している花だけでなく、水底へと沈んでいく花の姿も描かれており、手前から奥へと段階的に沈んでいく配置がリズム感をもたらしています。紫陽花はモチーフとして魅力的である一方、小花が密集しているため、細部の描写が非常に難しいものです。ひとつの大きな塊としての存在感と、花びら同士の重なりを両立させる必要がありますが、マナハはこの点も見事に捉えています。
あえて指摘するなら、画面中央がやや空いている印象もあります。紫陽花の配置を工夫するか、水面に映る光の反射をもう少し広げても良かったかもしれませんね。

心寧 中3 岩絵具/和紙・パネル
そしてこちらは、中学3年生・心寧の作品です。
冬の花である山茶花が描かれています。花びらの繊細な線を一枚一枚丁寧に追いかけることで、その薄さや揺らぎが的確に表現されていますね。
画面の半分を占める紺色の背景は、単なる余白ではなく、岩絵具そのものの質感を楽しめる空間として存在しています。山茶花の赤、葉の緑、背景の紺というシンプルな色の組み合わせは、図形的な美しさを感じさせ、どこか着物の柄を思わせる趣もあります。
また、この作品からは少し緊張感のある、おどろおどろしい雰囲気も伝わってきます。先程のマナハと同じ紺色の背景ながら、その印象の違いは、作者の中学3年生という受験を控えた時期の心境とも重なっているからなのでしょうか。まさに「今だからこそ描ける一枚」となっているように思います。
まだデッサンに未熟な部分も見られますが、目の前のモチーフに真摯に向き合おうとする姿勢がしっかりと感じられる作品です。