
左 杏和 高1 / 右 真大 中1 岩絵具・和紙・パネル
オバラです。久し振りに小学生以外の講評を書きます。
杏和 実際にいる動物か、絶滅した動物か、はたまた杏和が生み出した架空の動物なのか?洞窟のような岩場の中で背中を丸めペタンと座る生き物は、どこかユーモラス。
とは言え、不安げな眼差しから、雪舟『慧可断臂図(えかだんぴず)』の達磨大師を彷彿とさせます。達磨からなかなか弟子入りを許されなかった慧可が、自分の覚悟を伝えるために自らの肘を切って達磨に差出し、入門を許されたという逸話を描いたものです。
達磨もこの生物も一見コミカルですが張りつめた緊張感が漂います。取り巻く環境(絵のフレーム外に起っている事柄)の過酷さを想像してしまいました。
心情を表すように何度も色を重ねた主役に対し、平坦な塗り方の黒に荒々しく雑な黄土、この描き込みの差こそ、題材の奥深さを支えるテクニックなのです。
真大 一般的な中学生に好まれる繊細でリアルな画風に馴染むことなく、毎回オリジナリティーを貫いている真大。輪郭はまるで黒色のマーカーペンを滑らせたように均一な太さで描かれています。このとぼけたような印象を持つ絵に惹きつけられる理由、それは一体何なのか?
答えは不思議な構図にあります。俯瞰だったり真正面だったり、1枚の絵に幾つもの視点があるのです。もう一つは、立体感をことごとく無視し、単純化した形のリズムの面白さ。おかしな箇所があるのにそれが魅力になるとは羨ましい話ですが、細部にとらわれず全体像を捉え、複雑なものを理解し再構成する思考力がなければできません。バランスや構造の本質を見抜く洞察力が必要なのです。