
左 彩希 高3 / 右 朱音 高2 岩絵具・和紙・パネル
ナツメです。今日も学生クラスから日本画を二枚、ご紹介いたします。
まずは左の彩希の作品。画面から勢いよく飛び出してきそうな一羽の鳥が、深い青の背景を羽ばたいています。力強く荒々しい羽のタッチ、紫や赤が差し込まれた深い黒の重なり…どの要素をとっても、「描きたい!」というエネルギーがそのまま絵の中に流れ込んでいるようです。
輪郭を細かく取るのではなく、大きな面や動きで捉える描き方も印象的で、画面全体にスピード感があります。かと思えば、目や爪など小さな部分にぐっと集中した繊細な描写があり、そのメリハリが見る人の視線を自然と誘導してくれます。
背景の青も単なる空色ではなく、深く混色された層のある色。木の枝や小さな花のモチーフも散りばめられており、鳥の存在感を引き立てながら、空間全体に豊かさを与えています。筆の勢いと色の重なりの中に、「この瞬間を描きたい」という気持ちがまっすぐに現れたような一枚です。
続いて右の朱音の作品。まっすぐ伸びた茎の先に、鮮やかな黄色のユリがのびのびと咲いています。花の形や動きが自然に捉えられていて、見ていて気持ちがすっと明るくなるような絵です。
花びらはどれも丁寧に描き分けられていて、濃淡のつけ方、筋の入れ方に迷いがなく、観察しながら丁寧に描いてきた様子が伝わってきます。黄色一色ではなく、部分的に混ぜられたオレンジや赤も効いていて、画面にリズムが生まれています。
背景は柔らかな白をベースに、ほんのりピンクや黄土が混ざっていて、単調にならず、花の明るさを引き立てています。構図も気持ちのいいバランスで、真面目に花と向き合いながらも、どこかのびのびとした気配が画面にあって、それがこの絵のいちばんの魅力かもしれません。
どちらも画面の中央に力強いモチーフを据えた構成ですが、その迫り方はまったく異なります。左の鳥は画面を引き裂くように羽を広げ、背景を揺らすほどの存在感を放つ一方、右のユリは光の中で静かに咲き、見る人の心に穏やかに広がっていきます。
一見対照的なようでいて、どちらの作品にも「形にとらわれすぎない大胆さ」と「色に対するまなざしの鋭さ」が共通して感じられるのが面白いところです。正確に描くこと以上に、自分の目で見て感じたことをどう画面に残すか。それぞれが違った角度からその問いに向き合っているようにも思えます。
全然ちがう2枚なのに、なぜか並んだときにしっくりくる——そんな不思議な関係性も含めて、見応えのある2作品でした。