冬の色を描く


髙橋 岩絵具/和紙・パネル

今回ご紹介するのは、髙橋さんの日本画の作品です。静かな季節の空気を感じさせてくれる冬の日本画ですね。雪の重みでゆったりと枝垂れる姿は、まるで厳しい寒さに耐え忍んでいるかのよう。

画面の左半分に重心を寄せ、右側はほぼ余白にする構図により、絵の中に空間の広がりを生み出しています。あえて全体を埋めず、余白を活かすことで日本画らしい「間」の美しさが引き立ちました。

南天の実の丸みや影を、一粒一粒丁寧に描き分け、自然な立体感が生まれました。葉の枯れ色にはグラデーションが施され、冬の植物のもつ美しさと儚さを繊細に表現されています。
主役の赤を引き立たせるように、背景には緑系の色を選び、複数の岩絵具を何度も重ねて豊かな色面を作り出した事で、奥行きや静けさが見事に演出されました。
最後に置いた降り積もる雪の白は、岩絵具の荒い粒子を活かし浮かび上がって見えます。
しんと冷えた空気が漂う冬の寂寥感を感じさせる、美しいコントラストが見事ですね。

日本画は馴染みのない画材で苦労されたかと思いますが、その分、絵具や構図に工夫を凝らしながら表現された深みのある美しさは、鑑賞者の心を引き寄せるでしょう。冬という、過酷な季節の中にある生命の色とぬくもりを、観る人にそっと手渡してくれるような一枚です。