親子40年の付き合いです


七海 中3 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、学生クラスの七海の油彩作品。4月で退会となった為ミオスでの最後の作品です。
3歳だった年少さんの時に入会してくれた七海。入会時に当校に提出して頂く申込書には七五三の着物を着た写真を貼ってくれているので、その頃から12年間ずっと通い続けてくれたのかと感慨無量です。聞けば、お母様がノリ先生の中学時代の友達だとか!そう考えると40年間の人間関係があるのですね。まだ20代の私には、想像すらできません…。

レッサーパンダの写真を見ながら制作していきました。七海は真面目そうな見た目に反してマイペース中の超マイペース、筆は遅めのタイプ(というより、おしゃべりしたり気がつくとケータイを触ったりしているので、その度に「そんなんだから遅いんじゃ!」とよく講師陣に後ろから小突かれていました。笑)でしたので、日々尻叩きで追い立てておりました。口を開いてぽや〜んとしたなんとも言えない表情は、どこか作者に似た雰囲気を感じさせます。
毛並みの質感を出す為、少しずつ色を変化させながら毛の流れを作っていきました。背景の木も体と同じ茶色系の色合いですので、変化をつける為に青を多めに入れて空気の層を作ったり、タッチを変えたりして工夫しました。背景の空の色はやや絵の具のべったり感は拭えませんが、光を透かした葉の色を捉えようと、明るい色を入れたお陰でそこまで重たい印象はありません。1番の主役である顔を可愛らしくする為、目や口は気合を入れて望んでいましたが、本人も納得する出来栄えになりました。

中学3年生になりアトリエは退会してしまいましたが、ずっと美術が好きでいてくれたら嬉しいです!また気が向いたらいつでも顔を出しにきてね!

デッサンの描き方講座

暑い日が続いてますね。マユカです!
本日も昨日のナツメ先生に続き、学生クラスの話題です。春は学生クラスでデッサンの基礎の講座を開いたり、デモンストレーション等して描き方を教えていますが、こちらの『ブロックとボール』も、その授業の一コマです

今回描いたモチーフは、簡単に言ってしまえば直方体と球の本当に基本的な組み合わせなのですが、ここにブロックの空洞が入ってくることで一気に難易度が上がります。まずはざっくりと大まかに形を取ってから、少しずつ輪郭→大体の陰影…という風に進めていきます。直方体の辺同士はパースを意識し平行にせず、奥が狭くなるように注意しながら形を整えたら、ブロックの穴を描いていきます。上面を3分割し、手前>真ん中>奥になるように穴の大きさを調整し、そこからやっとブロックの厚みを出したり、窪みを暗くしたり等、どんどん描きこみます。生徒たちには2時間でこのモチーフを描いてもらいましたが、いつもはゆっくりと描いている子や、筆がなかなか進まない子もサクサクと描き進め、短い時間ながらもブロックの前後感や描きこむ場所にメリハリをつけ、全員がピントの合ったデッサンを描いていました。

そもそもデッサンは何のために描くのでしょうか。
理由は人それぞれでしょうが、デッサンは作品を作るための基盤、土台の部分であると私は思っています。デッサン力は油絵や水彩画、イラストレーション等、「平面的な絵」に説得力を持たせるためにとても大切なもので、デッサンが上達すれば比例するように作品の質もどんどん上がります。全ての土台故、その人の実力がはっきりと表れてしまうのもまた、デッサンなんですね。だから美術系の学校の受験では必ずと言っていいほど、デッサンの試験があるわけです。

かくいう私も昔はデッサンが苦手でした。高校受験のためにデッサンを始めたのですが、イラストを描くことが好きでも、写実的な絵は上手く描けず、なにより飽き性なので同じモチーフに向き合い続けることに飽きてしまって、モチーフを見ずに描こうとしてしまったりと、自分勝手に筆を進めていました。当然それでは上手くなるはずもありません。
ですがある日、こういった場で、同級生が描いている姿やデッサンを近くで見て、自分の作品と比べ、もっと頑張らないと。という気持ちになり、それからはデッサンにも集中して取り組むことが出来るようになっていました。(志望校に合格した後からわかったことですが、ミオスの先生方で私の性格を考えて、同級生と同じモチーフを隣で描かせてみよう、という話をしていたそうです。負けず嫌いな性格がバレてる…)

全員が全員そうというわけではありませんが、絵が好きだったり将来美術に関わりたいと思っている子は、自分の画力にある程度の自信があったり、心のどこかに負けたくない、上手くなりたい!という熱い気持ちを宿しているように感じます。そういった気持ちは、誰かと隣り合ってデッサンを描くことで引き出されていくのかもしれないなと感じたブロックデッサン講座でした。

しっかり、のびのび、学生クラス


愛菜 中2 / 詩哉 中3 / 心結 高2

突然の夏日にバテています、ナツメです。今回は学生クラスの様子をご紹介します!4月のブログでも「学生クラスでは春なので基本に立ち返りデッサン月間にしている」旨を書いていましたが、美術の授業のように皆で同じカリキュラムを行う時と、上記の作品ような『描きたい題材・画材を自由に選び、好きなように描く』個人プレーの制作の時があります。しっかり&のびのびのメリハリが効いている分、どちらの作品もクオリティーが高く仕上がります。

私も中1から高2まで学生クラスに在籍していましたが、やっぱり絵を描くのが大好きなので、日常でもそこかしこに落書きをしていましたが、自分で一枚作品を完成させるという経験はなかなかできるものではありません。意欲があっても学業もあるため、授業のように決まった時間が確保されていなければ「いつか何か制作できたらいいな」と思いながら、機会に恵まれず過ごしていたような気がします。また、何か一つを完成させることで、次の作品を良くするために技術を身につけたいと思うようにもなり、技術を学び次の自分の作品に活かす、という好循環がうまれることも魅力の一つです!

全体のカリキュラムというほどではありませんが、小学生クラスで制作している同じカリキュラムを一斉に作ることもあります。例えば以前ブログでご紹介した銀箔画や兜なども、せっかく材料が揃っているので「興味があればやってみない?」といった風に声をかけています。アクリルや水彩画だけでなく滅多に触れることができないような画材が使えますし、学生になると小さい頃には難しかった複雑で細かい作業や独自の工夫もできるようになっているということもあり、より本格的な作品を制作できることへの喜びはひとしおです。

現在、火曜学生クラス18:30~20:30と、木曜学生クラス19:00~21:00の2クラスのみ空席がございます。
土曜・日曜クラスはウェイティングされている方が控えている状況です。
無料体験授業やキャンセル待ちのお申込み・ご質問は、メールにて承ります。学生クラスの詳細はこちらをご覧ください。

石膏デッサン促進委員会・会長!


林 透明水彩・石膏デッサン

佐藤です。今回は大人クラスの林さんの作品をご紹介します。

女性の人物画を得意とされている林さんですが、ここ最近は一貫して石膏デッサンをされていました。
ミオスの石膏デッサン促進委員会会長を自任し(笑)、「もっとたくさんの人に石膏デッサンの面白さ、必要性が伝わればいいのに…」と常々おっしゃっていたようです。
その甲斐あって、窓際に置いてある描きかけの林さんのデッサンを見た生徒さん達から「こんな風に描けるようになりたいので、次回は石膏にチャレンジします。」などのお申し出が相次ぎ、現在かなりの方が石膏デッサンを描かれています。
4月、林さんの在籍する土曜クラスでは6人の方がトライ、なんと石膏台に同時に3体の石膏像を並べていたことも!高い石膏台に重い石膏像を持ち上げるのは骨が折れるので、こちらとしては嬉しい悲鳴なのですが…。

人物画も、以前の林さんの人物画と比べて非常に進化されているのが分かります。
いずれも顔や手、上半身のバランスをしっかり取る必要があり、誤魔化しの効かない難しい構図ですが、安定して描きこなせているのはきっと継続的な石膏デッサンの賜物ですね。
女性を照らす柔らかい光や、透けるような肌の表現も、透明水彩という画材の特徴を生かされていてとても素敵です。
以前の油彩では、キリリとした目元から女性の強さを感じるような作品も多かったですが、今回の水彩作品からは少し儚い雰囲気も感じられます。

お引越しで退会されてしまいましたが、ぜひ今後もライフワークとして絵を描き続けて頂ければ嬉しいです。機会があればぜひ新作を拝見させてください!

小学校受験のプライベートレッスン絵画


『潮干狩り』 年長さん

こちらの作品は、小学校受験クラスに在籍する年長さんがプライベートレッスンで描いた『ゴールデンウイークに行った潮干狩り』の絵です。
見てすぐ分かるシチュエーションで、説明もいらないくらいですが「いつ・どこで・誰と・何をして・どんな感想を持ったか」もしっかり言えるように練習します。楽しかったことは、本人が自信を持って描き、発表できたら嬉しいですよね。
「先生はアサリとハマグリの違いは知ってる?」「お母さんが貝を塩抜きしすぎて、食べる前に死んじゃったんだよ!」などのお話をたくさん聞かされ、体験・観察して気付くことの重要性を改めてを感じました。

私共の教室から慶應に合格されるお子様(男女共)は、サービス精神が旺盛で、ユニークな発想力があり、コミュニケーション能力が高いことが共通しています。
年長さんになると、親の気持ちに余裕がなくなってきます。夏休み前の今の時期は、勉強を詰め込むだけでなく、お子様の個性を活かして成長を促せるような言葉掛けを、ご両親でご協力ください。
それが、初めて会う人(先生)にも、緊張せずにお話できる子どもになる秘訣です。  小原

懐かしい顔


左 佳絵(18歳)帆花(13歳)小原(44歳 え?言わなくていい?)のハロウィン仮装 / 右 佳絵(27歳)帆花(22歳)

元生徒で、元スタッフの佳絵と帆花と結婚祝い&就職祝いで飲んできました。
二人とも小さな頃から知っているので、親戚のような、後輩のような気もしつつ、アトリエ運営に携わって私を支え助けてくれた大切な存在であります。
また帆花は、中学・高校時代に佳絵に教わっていたので、ここにも師弟関係が。
しかし大人になってしまえばそんなの関係無しで、話が途切れず気付くと5時間飲んでいました。(どうも私は5時間飲まないと気が済まないようです。)ハ~楽しかった。

佳絵先生のブログはこちら

帆花先生のブログはこちら

GWの思い出は?

大竹です。みなさまゴールデンウィークはどの様に過ごしましたか?私は恐竜博2023で小学生達に混ざって化石を眺めたり、アメ横の韓国屋台風の店でスムージーを啜って過ごしました。

ミオス幼児クラスでは、ゴールデンウィークに遊びに行った所・楽しかった事をテーマに作品制作をしました。最初は忘れちゃった!と言っていた子も、皆のGWの思い出を聞いている内に「プールに行って、お泊まりして、公園にも行って、お婆ちゃん家にも行ったよ!」と芋づる式に思い出していました。笑 思い出が新鮮な内に画用紙にクレヨンで描き出していきます。
上記の作品は、左から・映画館でお婆ちゃんとママとお姉ちゃんとドラえもんの映画を観にいった思い出・クラシックカー博物館でスポーツカーに乗った思い出・家族で札幌vs川崎フロンターレのサッカーを観戦した思い出を描いています。それぞれの家族の楽しそうな様子が伝わってきますね。普段の絵よりも更に生き生きと見えてくるのは、やはり楽しい思い出が下地にあるからなのでしょう。

普段よりも大きい紙に描いていったので、色を塗るだけでも大変でしたが、みんな年長さんなだけあって最後まで元気に描き切っていました。余白の部分は水彩絵の具で仕上げています。子供達の生き生きした線と、絵の具の原色は相性が良いですね!

作品を見る度、GWの時の楽しかった気持ちが思い起こされますね。きっと旅行中の写真よりも、当時の感情がダイレクトに伝わってくるのではないのでしょうか。

人物だけで空間を作る


佐藤M アクリル

マユカです!今回は佐藤さんのアクリル画をご紹介します。

パキッとした明暗の差と、鮮やかな色合いが強く目を惹くこちらの作品。イラストレーションと写実表現の中間的な絵柄が特徴のアメコミの模写という、初めてのアクリル画にしてはかなり難易度が高い題材を持ってこられましたが、アクリル絵の具では表現しづらいなめらかな色の移り変わりや、自然な光沢感が美しく表現されています。
腕と体に使われている暗い色は同じ色をしていますが、しっかりと前後感が出ており、線で区切らなくても、手の形が分かります。明度の微妙な差で形を取ることで、自然な空気感が手と体の間に生まれているのが素晴らしいです。

そして描きこみの差がしっかりと出ていますね。背景のない人物のみがメインになる場合、一番描きこむと映えるのが顔周りで、身体や服装などは少しぼかしたり、装飾を少なめにすることにより、目立たせることが出来ます。佐藤さんの作品では、身体も立体感を出すために絵具の配色や明るさにこだわりを感じますが、それ以上に髪の毛の一本一本が集まって毛束を作っている立体感や、顔の凹凸の自然な様子に目を奪われます。また、手前に大きく突き出た両腕にも明るい色を使い、ピントをしっかりと当てて描いていることで手前と奥を作り出し、平面的な画面が立体的に見えてきます。

人物だけを描くとき、バストアップで手を描かず、顔だけだったり、全身を描いても棒立ちになってしまったりと、動きが無いために平面的で単調になってしまう人が多いと思います。そんな時は腕を前に出したり足を開いたりなど、動きを与えることにより見ていて飽きの来ない絵が描けますよ。皆さんも背景のない人物のイラストレーションを描くときには、空間を意識したポージング・構図を目指してみてくださいね!

移ろいゆく空


香那 中3 油彩

皆さんGWはいかがお過ごしでしたか?ナツメです。今日は木曜学生クラスより香那の作品を2枚ご紹介します!

右の作品では夕暮れ時の山脈を描きました。日が沈んでいくにつれて夜空の暗い青色がじわじわと降りてくるような、時間の移つろいまで伝わってくる一枚ですね。曖昧な夕焼けとの境を点描で色を交錯させることによってだしています。山脈の澄んだ空気感も素晴らしい!実際に山が描かれているのは画面の僅か1/5にも満たない面積ですが、その中でも遠くなるにつれて空気遠近法により奥の山は空に馴染み薄く、ぼやけています。また、空を構成する点描も下にいくに従って細かくなっているため、遠近感と橙を青が覆っていく、という色の関係性が表現されているようです。

二枚目は「君の名は」の舞台にもなった糸森町の風景。深い夜空に一筋の流れ星が幻想的です。一枚目と同じく空を点描で描いていますが、比べて見てみると夜空の煌めきを表現するような役割になっています。また、湖の空に対して筆を寝かせて絵の具を乗せ、水鏡になるほど風のない静寂さが伝わってきます!

こうして二枚並べてみると対になっているようにも見えますね!私は夜になると少しわくわくした気持ちになるのですが、このような点描での表現にも夜への高揚感のようなものを感じます。今回描いたのは空でしたが、同じような描画方法で別のものを描いてみたり、逆に空を違う方法で描いてみたりと今後ぜひ表現の幅を広げていってほしいです!

漂う空気


佐竹 油彩(模写)

佐藤です。今回は大人クラスから佐竹さんの油彩作品をご紹介します。

左の合掌造り家屋の風景画は、画家の絵を模写したものですが、元々水彩で描かれた作品を佐竹さんが油彩でアレンジされています。
合掌造りといえば白川郷の集落が有名ですが、この絵は山梨県の西湖にある家屋を描いているようです。棟や窓にはえんじや青などのはっきりとした色が使われていますが、全体的に色まとまりが良く、落ち着いていて朴訥とした雰囲気が感じられますね。
佐竹さんは過去にも日本家屋の油彩画を描かれています(過去作品のブログはこちら)。以前の絵が瑞々しい緑やカラッとした空の爽やかさを感じるのに比べて、今回の絵は空がぼんやりと曇っていて、物静かな空気を感じます。
模写元の色の影響もあるかもしれませんが、私自身は夏には賑やかで楽しい絵が描きたくなり、冬には少し寂寥感を感じる絵や、柔和な絵が描きたくなります。
近しいモチーフでもグッと印象が変わっているのは、描かれた季節や気分の変化による影響もあるのかなぁと、勝手ながら想像を巡らせていました。

一方、右の静物画は光と影のコントラストが充分につけられてていて、実在感がありますね。
果物というモチーフも佐竹さんが過去に何度か取り組まれているものですが、ディティールの描き込み具合は過去一番ではないでしょうか?
それでいて、佐竹さんの持ち味である素朴な雰囲気もしっかり漂っています。

過去の作品にも共通する事ですが、風景画にしても静物画にしても、佐竹さんは「場の空気感」を描き出されるのがとてもお上手だなと感じます。
今は新たに風景画に取り組まれています。次の作品も楽しみにしております。