エスキースを重ねる


佐藤,K 透明水彩

岩田です。

本日は、チケットで通われている佐藤さんの作品をご紹介します。

青鷺が水の中で静かに佇んでいる風景は、私の住む地域にもよく見られます。じっと動かずに獲物を狙っているであろうその様は、微笑ましくも美しい日本ならではの光景です。

こちらの作品は全体的に青い色調がとても印象的です。茂った木々の陰に水からの反射を反映させることで、独自の世界観を作り出しています。
又、寒色系の様々な色を取り込むことで、実に豊かな印象を醸し出しています。

とはいえ、この絵を描くまでには様々に思案しながら実験を繰り返しました。それが下の2点の絵です。  

左手は、緑を主体に構成していますが、木々と水の色味と似通っている上に、水が濁っているような印象を受けます。
右手は、鷺が大きく入っている分目を引きますが、木々の陰色があまり綺麗に見えません。
こうして比較してみると、上段の作品が特に活き活き見えてきます。

一枚の作品を描く為にエスキースを重ねることは重要なことですが、更に佐藤さんは実際に色を使ってシュミレーションを重ねています。こうした積み重ねをこれからも続けていくことが絵のクオリティーを確実なものにしていく源泉となるでしょう。

十五夜、芋名月、お月見…

大竹です。今月の21日は十五夜ですね!一年の中でもっとも美しいといわれる月を眺めながら、ススキと月見だんごをお供えして秋の収穫や実りに感謝する日です。
幼児クラスでもお月見にむけて紙工作と粘土制作を行いました。黒い画用紙にまんまる満月をペタリ、地面やススキもペタリ、と貼ったら白いクレヨンでうさぎたちを描いていきます。今回は月を見ているうさぎさんなので、後ろ向きで描いています。中には3匹並んで親子や兄妹うさぎにしている子もいて微笑ましい光景ですね。
紙工作が終わったら粘土でもうさぎを作ります。千代紙でうさぎさんの洋服を作ったら、長い耳と赤いおめめをくっつけて完成♪松ぼっくりも添えて秋らしく可愛らしい作品になりました。是非21日は完成した作品も飾って満月と一緒に眺めて楽しんで下さい^^

昆虫探索中

季節の変わり目は毎度服に悩まされています、ホノカです。
今回のブログも昨日のナツメ先生に引き続き8月のカリキュラムで行った昆虫制作の紹介です!

クワガタを制作した後は、チョウの制作を行いました。クワガタの作り方はナツメ先生に続きしつこく宣伝してしまいますが、高校1年生の操希先輩がYouTubeでとても詳しく紹介していますので、こちらをご覧ください。今日のブログはチョウの作り方を簡単に説明いたします。
まず半分に紙を折り、折り目に近い方に体の半分を、そこから生えるように大きく羽を鉛筆で描きます。
紙を半分に折りまげたまま切り、開くと左右対称のチョウが出来上がり!
羽と体の境目を谷折りにしたり、お尻の方をジャバラに折って広げると、平面になりがちなチョウにも立体感とリアリティが生まれます。
紙を半分に折って切り開く作り方は、クワガタの体を作る際にも登場したやり方なので、みんな向きを間違えることなくチョウを作れました!羽を描く時は形をなみなみにしてみたり、アゲハ蝶のように少し飛び出た所を作ったり、元がシンプルだからこそ色々なアレンジもできます。

チョウにも色をつけていくのですが、なんとアトリエにはチョウの標本があるので、図鑑だけでなく実際のチョウを観察しながら模様をつけていきます。ここでも生徒それぞれの個性が爆発!晴天の空のように爽やかな水色でグラデーションを作っている子もいれば、グレーや青に黄緑を合わせてロボットのような機械的なチョウもいましたね。他にもステンドグラス風だったり迷彩柄だったりと唯一無二の作品が完成しました。

67月の油絵ではずっと慣れない画材を使っていましたが、今回はハサミやボンド、水彩絵具などの使い慣れた物を使ったので自分の思い描く作品が作りやすかったのでは?見本の作品はどれもリアルなものが多かったので、形や色使いでオリジナリティ溢れる作品たちにはこちらが驚かされまくりでしたよ!

昆虫制作についての紹介は来週も行いますのでお楽しみにしていてください!

自分だけの標本

程よい気温になってきて毎日眠いです、ナツメです!

今回は8月に小学生クラスで制作した、紙で作る標本昆虫のご紹介をします。

まずは基本となる蝶とクワガタを作ります。画用紙でそれぞれの形を作り、水彩絵具で好きな色に塗った後はニスを塗って仕上げです。2匹作って制作の感覚が掴めてきたら、他の昆虫でも架空のものでも好きな昆虫を製作します!

あとは好きに作っていいよ!と言うと、図鑑と睨めっこして次にどの虫を作ろうか悩んでいるリアル昆虫を作りたいタイプと、好きな要素を詰め込みまくって欲張りセットみたいな虫を作るタイプに結構ぱっきり別れていたのが印象的でした。クワガタひとつとっても、展覧会を開けるんじゃないかと思うくらい色や形も十人十色です。

私が学生クラスにいた頃に同じように紙工作で蛾とスズメバチを一ヶ月ほどかけて作った経験があるのですが、子どもたちはその時のものとさほど変わらないクオリティの昆虫たちを半分以下の時間でさくさくと作っていくので、教えながら内心衝撃を受けていました。あの時上手く作れた感動は一体とも思いましたが、やっぱりアトリエの指導が良いんでしょうね!きっとそうです。

虫嫌い!作りたくない!と言っていた子も手をつけると楽しげにカラフルな昆虫を作っていたり、どの子も自分なりのこだわりを持ってクワガタや蝶で学んだ基礎を上手くアレンジして取り組んでいました。切り込みを入れて紙に立体感をつける方法や、よりリアルな虫に見えるポイントなども伝えるとすぐ次の作品に応用して使ってくれるので教える側も楽しかったです!

油絵と2ヶ月向き合ってきたから次々と作品が完成する感覚は面白かったかな?楽しくクオリティの高い工作ができて夏休みの宿題もできるなんて一石二鳥ですね!木箱に入れて虫ピンで止めたり英語で学名表記を書いた紙を添えたりするとより標本に近くなりますし、虫カゴに入れてみても展示方法として面白いかもしれません!

クワガタの作り方はYouTubeでも紹介しているのでぜひ見てくださいね!

暖かい空間


矢作 油彩

まだ半ズボンはしまってません、一平です!本日は水曜夜間クラスの矢作さんの油絵をご紹介します。

暖かい陽気の中に青々とした竹林がとても美しく見えてきますね。竹林の奥に見える山脈も光の方に続いていく構図が、とてもポジティブな印象を与えています。散歩中に何気なく通った道がとても美しかった、というような決して派手ではないのですが、思い出に残るような、ただの風景画ではない不思議な魅力があります。
さて、その「口には出来ないけど不思議と魅力を感じるという事を、出来るだけ言葉にしていくのがこのブログ内での我々の役割です!」という訳で僕なりの解釈でお伝えしますと、この絵の魅力を作っているのは「光」でしょう!光は実体があるものではありませんが、この絵のように光源とそれを受ける物体がある事で、相互作用により人は様々な感情を起こされるのです。密度の高い竹林の中から刺す木漏れ日、林を抜けた先にある開放的な光、照らされる木々と照らされていない木々の差異、これらの光がとても澄んでいてこの絵の魅力を形作っているのだと思われます。光がキチンと描写されているので画面全体にかなり寒色を置いていても、暖かい雰囲気が作られているのです。よく見ると林部分だけでなく下の石畳の道にも結構紫や青など寒色が使われているんです。それでもここまで優しくほっこりする絵が描けるというのは素晴らしいです!

今回に限らず矢作さんの作品はいつも濁った色彩が使われていない、とても健康的な作品が多いと感じます。やはり人生の大先輩でもある矢作さんは僕なんかと比べたら様々な事を達観して見ているのでしょうそんな矢作さんの人間としての懐の大きさが絵にも現れております!

年少対象の小学校受験アートクラス

10月6日(水)に【年少対象ーキッズ小学校受験クラス】の体験授業を開講します。
毎回の授業で絵画と制作を交互にカリキュラムを組み、年少さんのうちから慌てず無理なくクレヨンやハサミなど基本的な道具の使い方、塗る・切る・貼るといった巧緻性につながる部分の基礎力を身に付けるような指導を繰り返していきます。お母様が隣についての制作ですので、初めての習い事でも安心です。フォローをしてもらいながら、絵を描く楽しさ・物を作る面白さを感じていきましょう。
また毎回授業で生き物の描き方を1匹ずつ練習します。全18回の授業で描いた生き物が全て揃えば、オリジナル生き物図鑑が完成します。
お問合せやお申込みはメールで承ります。<mios@ace.ocn.ne.jp>

【キッズ受験クラス】 体験日10月6日(水)
期   間 : 年少10月~年少3月まで(年中児も受講可能)
曜日&時間 : 水曜日 14:00~14:50(月3回)
入 会 金 : 22,000円(消費税込‐以下全て)
受 講 料 : 9,900円 / 月
テ キ ス ト  :15,000円(入会時のみ徴収)
体 験 料 : 3,000円
定      員 : 10名(親子参加の為20名が受講)

※年度内(3ヶ月)の授業は12月8日(水)までの9回行います。(11月3日お休み)
※授業は水曜1クラスのみですので、欠席の際の振替授業はできません。補講を希望される場合、月に1回まで5,500円の割引料金でプライベートレッスンを受講できます。
※定員に達しなかった場合、途中入会を受付けます。月謝を日割り計算させて頂きます。
※材料・道具はこちらで全て用意致します。作品を持ち帰る為の袋(エコバックのようなもので大丈夫です)だけお持ちください。
※土足入室可能ですので、上履きは不要です。
※スモックは暑がることもありますので、お洗濯が簡単な服装でご参加ください。(先輩の皆様も親子共にお気軽な服装でいらして頂いています。)

今年もコロナの影響で立体制作はあまり出題されないだろうと噂されていますが、昨年もいつもの受験と変わらぬ試験問題(立体造形・グループ制作)だった小学校もある為、オールマイティーにカリキュラムを組んでいます。
年少さんの内から簡単な制作で成功体験を増やし、楽しいな!⇒もっとやってみたい!⇒上手になりたい!と気持ちの中に意欲が湧いてくると、お子様の方から積極的に取り組んできます。工作に必要な道具の使い方や材料の扱い方を学ぶスタートラインで、最初に「楽しい!」という気持ちが芽生えれば、その後で技術面はどんどん発展させていくことができます。キッズ小学校受験クラスの授業では、このスタートラインを大事にします。

たとえ思ったように出来なくて失敗しても、「ここは上手にできたね!」とできた箇所を褒めたり、「今度はどうやったらいいかな?」と親御様と一緒に手を動かして試行錯誤する経験の積み重ねが、必ず自信へと繋がっていきます。レッスンでは、ワクワクしながら取り組んでいけるように、サポートしていきたいと思っています。

構成の妙


麻場 油彩

岩田です。まだまだ暑い日が続きますね。
本日は土曜午前クラス、麻場さんの作品をご紹介します。

自身で撮影した写真など、風景を主に描かれている麻場さん。
今回も三浦半島に行かれた際に出会った風景を元に描いていますが、決してそのまま描き写している訳ではありません。ほぼ必ず何かしらを描き入れるなどして絵を自分なりに構成することを心がけています。
そうした実際にはない状況を2次元上に想定することは簡単なことではないですが、あたかもそれが自然に見えるよう頭を駆使して描き進めることで、知らぬ間に実力が上がっていくことは確かです。

芸大の受験でも、幾つかのモチーフを手渡され画面上にそれらを構成するという問題が出題されます。モノを構成してあらたな状況を設定することは、徹底した観察と気遣いが求められますが、麻場さんもある意味自分に負荷をかけることで、自ら観察力を鍛えていると言えるでしょう。

今回は、磯場にハシビロコウが佇んでいるというシュールな風景を描き上げました。鮮やかな空の下に広がる空間がなんとも気持ちの良い作品です。麻場さんの構成力も含めた高い表現力が見て取れるでしょう。

今月、麻場さんの作品展が開催されます。オリジナリティー溢れる作品を是非会場でご堪能下さい。

『麻場すみこ個展 ~陽だまり~ 』
会期:9月18日(土)12:00~18:00 
           9月19日(日)11:00~18:00
           9月20日(月)11:00~17:00
会場:ギャラリー自由ヶ丘 自由が丘駅から徒歩4分
   〒158-0083 世田谷区奥沢5丁目41−2

幼児クラスも鳥獣戯画に挑戦!

現在、アトリエを小学生クラスのカリキュラム『鳥獣戯画』のコピーがぐるっと一周しているので、「これは幼児クラスでもやらねば勿体ない!」と鑑賞&模写を行いました!
喧嘩していたり、遊んでいたり、泳いでいたり…いろいろな動物が擬人化された姿は思わずフフッと笑ってしまいますね。子供たちもまずは文字がなくても楽しめる鳥獣戯画を鑑賞しました。そして一番有名な相撲をしているウサギとカエルを見つけたら、それらをクレヨンで模写していきます。難しそうですが、一つ一つの線を絵描き歌の様にリズミカルに描くことであっという間に完成していきました。カエルによってひっくり返されたウサギの体や勝ったカエルの表情がとても面白いですねー!しかもちゃんと鳥獣戯画の二匹だと分かるのが凄い!
今回は二匹に色を塗りましたが、カラーの鳥獣戯画もかわいらしいですね。まだ幼稚園児ながら、下書きなしの一発描きでこれだけ上手く描けるとは…素晴らしい!

オリジナルのための第一歩


寒暖差で永遠にくしゃみが止まりません、ホノカです。今回は9月の小学生クラスのカリキュラムのご紹介です!
今月はオリジナルの「鳥獣戯画」を描く!というカリキュラムなのですが、そもそも「鳥獣戯画」とは?という話は昨日のナツメ先生のブログでご紹介されていますのでこちらも併せてどうぞ!


オリジナルの鳥獣戯画を描く第一段階として、まずは原典をしっかり知ることが必要です。そのため現在アトリエには、教室を張り巡らせる様に鳥獣戯画が展示されています!教室に入った時に「なんだこれ!?」となった方も多いのでは?
授業では始めに教室内を歩きながら鑑賞し、どのような場面や動物がいるかを見て周ります。見ていく中で小学生からの人気が高かったのは、やはり一番有名な場面であるカエルとウサギの相撲のシーン。他にもお坊さんの格好をしたサル、霊獣と呼ばれる龍やキリン(麒麟)でした。見覚えのある動物が人間のように遊んでいたりキメラの様になっていたり、鑑賞しながら「これライオンじゃない?いやいや虎でしょ!」という風に友達同士で話せる点もこの絵の面白いところですね。


そして鑑賞した後は、先ほども登場したカエルとウサギの相撲のシーンを模写していきます。本物の鳥獣戯画がそうである様に、模写でも鉛筆や消しゴムを一切使わず、筆で一発描きで挑みます。なので描く時はその一枚に集中して筆を走らせ、お喋りは厳禁の空間が生まれました。普段は超超超賑やかなアトリエの小学生たちが、しん….と静まり返っている様子は目を疑う光景でしたね!もっと早く飽きてしまうかなと思っていましたが、最後まで一枚一枚真剣に描いていたので、思わず私の方が喋りたくてうずうずしてしまいました。


有名な作品の鳥獣戯画ですが、最近では小学6年生の国語の教科書に載っているとのこと。私が知ったきっかけはNHKで放送されている『びじゅチューン!』と言う番組なのですが、そこで取り扱われている鳥獣戯画も、新しい視点で観れるので楽しかったです!「絵だけの漫画は話がよく分からない」とこぼしている生徒がいましたが、絵だけだからこそ色々な見方を出来るという点もあります。鳥獣戯画が800年後にまで伝わる作品となったのは、そんな所もあるのかもしれませんね。

現在から古代へ

8月が終わってから冷房がいらなくなりました、ナツメです。今月の小学生クラスのカリキュラムのご紹介を中心にお話しします!

9月はあの有名な絵巻物、鳥獣戯画をオリジナルで描きます。鳥獣戯画は漫画の原点とも言われ、古代から現在まで繋がっている作品です。まず本物の鳥獣戯画を模写し、書き方のコツを掴みます。筆の動かし方に慣れてきたら動物たちを好きな動きで描いていきます。

下の絵↓は、私が見本で描いたオリジナル戯画です。一部、NHK>2020応援ソング「パプリカ」国宝『鳥獣戯画』バージョンも参考にしました。とても楽しい動画なので、見たことのない方はぜひこちらをご覧ください!

古代日本の美術といえば、この間国立博物館で開催していた「聖徳太子と法隆寺」展に行って来ました。会期は終わってしまったのですがとても良かったのでかるーくご紹介します!

この展覧会では、その名の通り聖徳太子が仏教と関わってきた歴史に沿って遺品など聖徳太子に由来のある品や法隆寺に納められた宝物、重要文化財などが展示されていました。

中でも仏像が数を占めていて、一度に様々な年代に作られた像を鑑賞することができるという貴重な機会でした。周囲の国の影響もありそれぞれ制作された時代によって特徴的な要素が違うのですが、どの像も絶妙な微笑みや足の小指のシワまで彫るほど仏様に力が入っているのに対して衣服はデフォルメされており、平面的なデザインになっているのが興味深かったです。特に飛鳥時代の仏像の袈裟が装飾性が高く、特徴的で面白いデザインだったので是非調べてみて下さい!

他にもおじさんの顔がついている水瓶や紺の紙に金の文字で書かれたお経など、楽しい見た目のものも沢山あったのでまたの機会にそちらもご紹介したいです。

大学でデザインを学んでいるため、最近はそのようなデザイン分野の展示だけに頻繁に行っていました。この展覧会、実は小原先生宛の招待券の恩恵に預かったのですが、そのきっかけがなかったら今回のような気づきや学びを得るのがずっと後のことになっていたと思います。皆さんも普段はあまり見ないような作品に触れてみると新しい発見があるかもしれませんよ!