ドアを開け放て


大西 鉛筆デッサン

岩田です。今日は本当に暑い一日でした。

今回は土曜午前クラスの大西さんのデッサンをご覧頂きます。
近年、一貫してデッサンに拘って描き続けているだけに表現力を増しています。

たかだか鉛筆と消しゴムというシンプルな描画材のみで紙にアプローチし、モノに迫っていく行為は単純でありながらもそこはかとなく深い。
それは徹底した観察により、如何にそのモノのと自分が同化できるかだと私は思います。
更にそれは、そのモノの声を聞くとか、そのモノになり切るという言葉でも表現できるでしょう。

人はモノと対峙する時、自分の経験を元にこうであろうとある種決めつけてそれを認識しようとする傾向にあります。思い込み、観念と言っても良い。
デッサンという行為は、その思い込みを如何に取り払うことができるかが鍵です。
自分をフラットにしてドアを全て開け放った時、眼前のモノと自分の距離は0になるどころか、一体となっていくのです。

自身、モチーフ、描画材、画面との対話の中で、一つの確固たる世界が構築されていきます。

とはいえ、3次元を2次元にリアルに表現するためには、そのように描く為の「理論」も必要だといういことも忘れないでください。

大西さんのデッサンも、モチーフと自身の距離がだいぶ縮まってきたと感じます。でもまだまだ行けます。これからもっとその距離を縮ませて欲しいと思います。その扉を更に開け放ちましょう。

来週の土曜クラス・日曜クラス・月曜クラスは、お休みです。お間違えのないよう、お気を付けください!