『自由にのびのび』をはき違えず

4/5/6月は幼稚園も休園、塾も閉鎖。時間がある為プライベートレッスンを何十回も受講された年中さんの作品です。お母様より「勉強は教えられても絵はお手上げです。ミオスのテキストを使ってご指導ください。」とお願いされて5冊のテキストをまんべんなく使いこなしていきました。なんと「森に探検に行ったらどんな動物に会いたい?」をテーマに、一人で右の絵を描けるほど上達しました!

コロナで休園していた保育園ボランティアに先日久し振りに行きましたが、難しい斜め長丸(顔)なども覚えており、星を見上げる様子が自然に描けました。また腕が肘で曲がることも記憶しており、星を指さす『く』の字の肘の関節も上手でした。

芸術に関して技術を教える事を、自由な発想力の妨げになると考える親御様も多いのですが、例えば水泳の基礎をやらずに泳がせても楽しくないように、絵も基本をふまえることが、オリジナリティーの損失には繋がりません。むしろ基本ができるようになると、そこから発展した絵が描いてみたくて仕方が無くなり、ますます美術が好きになるのです。(そして上記右の写真のような作品になります。)

『自由にのびのび』をはき違えている保護者は多くいます。
お母様から「美術は『こうやりなさい』と言っては個性が損なわれてしまうので、家ではたくさんの材料を与えて、自由にのびのびといつでも制作できる環境を作っているのに、倦厭して手を付けようともしないんです。」などと相談を受けることがあります。
間違いが3つあります。
①画材や道具の具体的な使用方法を教えていない(もしくはまだ未熟)
②テーマ(課題)が何も無い
③好きにやって良いと言いながら、完成度の高い作品を期待している(のが子どもに気付かれている)

もし皆さんが他人の家に行って、「冷蔵庫にいっぱい食材が入っているから好きにしてね!」と言われたら、何を作りますか?しかも、この野菜は生でも食べられるが、こっちの野菜は火を通さないとお腹を壊す、など素材の基礎知識もなく、調理方法も知らないとしたら?知っていたって、何分煮ると鍋がこげるかは経験がないと分かりません。
しかも、何人分の夕飯を何時までに作るかも言われず、昨日は何を食べた家庭なのか、どんな料理が好きな人達なのか、赤ちゃんやお年寄りがいる家族なのかも聞かされないで、それでもあなたの料理を実はすごく期待されている。
そんな状態で「個性を活かしてクッキングを楽しんで!」なんて、荷が重すぎますよね?「無責任なこと言うな!」と怒りすら湧いてきます。

子どもには無限の発想力があると思い込むのは、女性なら誰でも料理が得意と思っているのと同じです。
料理は一応できても、苦手・嫌いな人も沢山います。全くできない人だっています。
そんな人は「今日は中華が食べたい。餃子は是非メニューに入れて。」など、制約(具体的な指示)を言われる方がずっと気楽に作りやすくなります。
それに慣れた後、オリジナリティーを求めるのが良いでしょう。例えば「このトマトを使って、サラダ以外の副菜を作ってください。(この箱を使って、働く乗り物を作ってください)」のように。
先日上記のようなご相談を受けたお母様と話しをしている最中に、画用紙の円柱に穴を開けて円錐を突き刺すことを教えただけのお子さんが、一人でみるみる立派な建築物を作り始めました。帰宅してからもその構造を使い、宇宙で活躍する道具やいたらいいなと思う不思議な生き物を作ったそうです。
小学校受験の絵画・制作では、お子様の今の実力を見抜き、少し背伸びをした技術を教え、手が届きそうな課題を出す。そんな導きをして欲しいと思います。