岩絵具へのチャレンジ


白仁田 岩絵具/日本画

暑いですがお元気ですか。岩田です。

本日は、土曜日午前クラスの白仁田さんの作品をご紹介します。
近年は、透明水彩を中心に描かれている白仁田さんですが今回初めて岩絵具に挑戦しました。ご本人曰く、どうも水彩絵の具とは勝手が違うようで、扱いにくいとのことでしたが、重層的に色を配置した背景が大変美しい作品となりました。

岩絵具は、鉱物やガラスの粒子の大きい粉体で重い為、透明水彩などと比べると画面上で色が溜まりやすく、通常のそれと同じような感覚で扱おうとすると違和感を感じてしまうでしょう。
しかし経験を経て扱えるようになれば、他素材とは全く違うアプローチの作品を生み出すことができます。

今回の作品は、梅の枝の色合いに深みがありリアリティーを感じますし、鳥の顔や羽根の表情にも白仁田さんならではの繊細さが見て取れます。
ご本人が思っている以上に魅力的な作品となりました!思い立つことがありましたら是非又、日本画に挑戦されて下さい。

ありがとう神様、紙様。

八月に入ってから半ズボンしか履いていません、一平です!

本日は先日旭先生が紹介してくれていました、僕が企画から準備、当日の仕切りを担当させて頂いた「飛び出す絵本ポップアップ」のワークショップについてご紹介します!

とは言っても作り方や子供達の想像力の素晴らしさは旭先生がほとんど書いてくれました。なので今回は子供達ではなく僕からの視点で紹介したいと思います。

最初にワークショップに人気の出そうな講座を考えるところから試練は始まります。そしてポップアップというアイデアを思い付き、どのような構造なら簡単で見栄えがし、その構造には素材は何が適していて尚且つ出来れば安価に抑えられるかという材料の問題を、試作を繰り返す事でクリアしました。その後買い出しも無事終わり帰ってくると次は準備(結局ワークショップの日までの5日間、毎日ミオスで9時間ほど準備していました。幼児や小学生達の制作中にお邪魔してごめんなさい!)、完成しなかった子達のための説明書作り(写真 下段)に時間を費やしました。そして四六時中カッターで怪我する子がいないか、開いてうまく飛び出すか、など次々に心配事が出てきては解決して、出てきては解決してのシュミレーションを繰り返していました。

ですが問題が発生するたび、助言をくれたノリ先生やエリ先生、準備や当日のお手伝いをしてくれたアサヒ先生など色んな人に助けていただき、僕の心の不安はどんどん減っていきました。そして一旦落ち着いた今だからこそ振り返れる事ですが、企画から運営まで学生がする、責任者の立場に立つという体験はかなり、かな〜〜〜り貴重なのでは!?とひしひしと感じます。

神は乗り越えられない試練は与えないと言いますが、帰り際の子供達の笑顔を見る限り、僕はどうやらアトリエの神様たちのおかげで無事乗り越えられたようです。ありがとう神様。(ワークショップ終わりのみんなが帰った後、鼻血が噴き出てきて焦りました。どういう事だ神様)

学生は責任者(指導者)の管轄の中で勉強や集団行動など経験するのが普通とされていて、僕も当然そのなかで育ってきましたが、1つだけ周りの友人たちと違うことがありました。そう、『期待』という名の重責を与えられるアトリエ・ミオスの存在ですね。

そんなミオスに10年以上生徒として通い、中高生になってからはイベントの度にボランティアで小学生の面倒を見させられ、去年からは講師として働きもう1年以上経ちます。未だに烈火のごとく怒られる事も多々ありますが、企画から運営まで経験が出来たこと、そして子供達に一番近いところで子供達の正直な声が聞けたことが一番企画して良かったと思います。

最後になりますが、参加してくれた子供達、そして保護者の皆様ありがとうございました!

明日の火曜より、金曜日までブログをお盆休みとさせて頂きます。授業もブログも土曜より再開です。お間違えの無いようお気を付け下さい。

紙と技法の物語

お久しぶりです。旭です。連日溶けそうなほど暑いですが、いかがお過ごしでしょうか。私は熱でノーパソが壊れて閉口しています。どうしよう。 

さて、久しぶりのアトリエは一平先生企画の飛び出す絵本ワークショップのお手伝いでした!

複雑な構造に見えて、小学生でも楽しく作れる、ギミック付きの絵本を制作していきます。使用した技法は三種類。絵が立ち上がるギミックに、箱が立ち上がるギミック。それからスリットから絵がにゅーっと飛び出すギミックでした。設定を考え絵を描いて、指示通り台紙に貼り付けていくという工程です。

この3種類の面白いところは、ズバリ物語の構成がしやすいこと。例えば、絵が立ち上がるギミックを使用して、ババーンと物語の主人公が登場し、背景で設定が把握できる絵を貼ります。海がテーマなら海に遊びに来た自分が主人公で、爽やかに広がる砂浜を背景にする、などです。その後、箱のギミックを使い、海賊の宝箱を見つけて。飛び出すギミックを使ってサメが襲ってきて。など、ストーリー展開は十人十色。お父さんやお母さんと、友達と話の続きを考えるのも楽しい、応用の利くギミックでした。ワークショップ終わりに配られた説明書で、もっとページを増やしたい、何度も開閉してる内に壊れた、などの場合のアフターケアもばっちりです。

一方で、お話作りはどうかな?恥ずかしがって描いてくれないかな?図工を習いに来たのに物語を作るのは国語みたいでイヤ!なんて言われないかな?と、少し不安でした。しかし、そこはさすが想像力の逞しい子どもたち。全く心配することないなあと、改めて実感しました。これでも文系ですので、ギミックを使って成り立つ絵本の物語をいくつか用意し、どうするか迷っている生徒には助け舟を出すつもりではありました。しかし、悩んでいたのは最初の5分ばかり。飛び出すギミックを見せた時の、感動するキラキラした笑顔は忘れられません。僕も、私も作りたい、形にしたいという気持ちでいっぱいの子どもたちのモチベーションは無敵です。全く予想していなかったテーマを提示してくれた子、箱が立ち上がるギミックで、蓋のない宝箱なら中に宝石を散りばめたいと言ってギミックの欠点を補うアイディアを即座に思いついた子。ギミックをギミックだけのものとして理解してしまう私では思いつかない、新たなものに触れた少年少女の感性に、驚かされるばかりです。子どもたちに良い経験を、などと思っていたら、ワークショップを通して私の方が良い経験を積ませていただきました。一平先生、ノリ先生、そして保護者の皆様、なにより参加してくれたみんなに、心から感謝します。ありがとうございました!!

魔法の力!

大竹です。昨日のブログは魔法の光る剣と伝説の生き物のタマゴでしたが、本日は魔法シリーズ『飛行石』編です!幼少期はドラクエやゼルダといったゲームが大好きで、剣と魔法の世界に夢中になっていた私には実に羨ましい内容です。指導しながらも自分も生徒達に混ざって作りたくてウズウズしておりました。

 魔法石の祭壇は全て発泡スチール製。黒い発泡スチロールを手で荒くちぎる事で朽ちた岩肌のボロボロの質感を出し、グレーのジェッソ(モデリング出来るアクリル絵の具)をわざと雑に塗り、ジオラマ用の苔や砂をまぶしてよりリアルな造形に。石柱は五寸釘を指し祭壇に固定しています。美しい飛行石は、昨日のブログでも紹介されたおゆまるくん(お湯で柔らかくなるプラスチック粘度)製!お湯の熱さに苦戦するかな?と思いきや、案外皆平気そうにおゆまるくんをこねていました。冷えると固まってしまうので、柔らかいうち鎖に繋いだ小さな釘を三方向から刺し、石柱に繋ぎます。その後、飛行石の下から爪楊枝を刺し、飛行石が祭壇の中心に浮かぶように位置を整え支えます。そのまま鎖に瞬間接着剤を塗り、固まった後爪楊枝をひっこ抜けば空飛ぶ石の完成!祭壇の中心にはLEDが埋め込んであるので、暗い部屋でスイッチを入れれば飛行石が幻想的な光に照らされます。いやー、私も一緒に作りたかった

今回の魔法シリーズは学生ボランティアにも協力して貰いました。ワークショップは学生クラスの中高生の力で支えられています。(ノリ先生の下僕?いいえ、皆良く気の利く、優しく頼もしい先輩達です!)イベントに参加すればするほど、使える人材になっていくところが怖い位。若者は成長も吸収も早いですね。私も中学生の頃からミオスで鍛えられていたので、毎年ボランティアの学生達を見ていると、当時を思い出し懐かしい気持ちになったりしています。

剣を彫刻

今週は2回目の登場となります、トシです。火曜は幼児・小学生のワークショップにお邪魔させて頂きました、その様子をレポートします!
今回作ったのはLEDが中に入った光る剣と、卵の殻に生き物が入れてそれをLEDで照らすオブジェの2つです。

剣はサクサク切れる発泡スチロール製(正確に言うと、建築材料の断熱・保温材/押出発泡ポリスチレン板スタイロフォーム)ですが、小学生の彼ら彼女らがカッターで自由に造形して持ち手の部分には革を巻き、前述のLEDは青い下敷きを切ったもので覆うのでなかなかのクオリティー。でも何がヒヤヒヤしたって小学生たちのカッターの使い方です。刃のすぐ先に手を置く子、刃を逆向きで当てる子、もうなんか切れずに力業でボロボロになってしまった子も、、、、
お陰で(まあ僕の監視が適当だったのですが)僕の担当するテーブルでは、上記写真で黄色い生き物を噛んでいる子に2回も手をザックリとやらせてしまいました。(しかもその事実はノリ先生には隠蔽)

さて発泡スチロールの塊は、手を血まみれにしながらも大分剣に近づいてきました。みんなが自分でデザインを考えながら剣を削っていくのでなかなか面白いです。
そしてその中にLEDを埋め込み(発泡スチロールの一部がくぼんでいてそこに入れます)上から青い下敷きを切ったものを貼り、油性マジックで魔法陣を描きます。こうすればもう八割方は完成です。涼しげに光るその剣はお祭りの300円のクジのそれよりもずっとハイクオリティで、良い思い出になったんじゃないでしょうか!

そしてもう1つの作品、おゆまるくん(湯で変形するプラスチック粘土、サイズは消しゴムの兄程度)で作った伝説の生き物と卵の殻をLEDで照らすオブジェの方の制作に取り掛かります。おゆまるくんを使ったのは自分自身初めてですが「いやー便利なものが世の中ありますねー!」というもはや老人の感想でしかありません。それを熱湯につけてしばらく置くと軟化して、手で自由に造形が効く様になります。しかしここでも小学生特有の「何作ったらいいかわかんないー」という内におゆまる(もう呼び捨て)は硬化。もう一度お湯に浸けます。そしてその熱湯の中から取り出すのは、、、ハイハイ僕がやりますよ、、、ということで指先は真っ赤。アチチチと大騒ぎする高校生です。(でもこれぐらい大げさで馬鹿なことをすると小学生は大喜びです。それならばと思い調子に乗ったら手が腫れた)

僕ら担当のテーブルではおゆまるでイルカやうさぎを作っていました。その完成した生き物を卵の殻に入れて(あるいは横に添えて)LEDで下から照らします。LEDは徐々に色が変わるタイプなので卵とおゆまるが何色にも透けてそれはそれはキレイです!

そして最後に電気を消して真っ暗に、暗闇の中で浮かぶ剣とおゆまる卵オブジェを見た皆んなは大歓声!学生たちも「きれい!」と思わず言ってしまうほどです!小学生にとって、そして僕らボランティアの学生にもいい夏の思い出の1つになったのではないでしょうか。

お休みをありがとうございました


『深淵』(しんえんー奥深く、底知れないこと) 墨・透明水彩 / 絹本

小原です。2週間も授業とブログを休んでしまい申し訳ございません。
お蔭様で、大変充実した個展を開催する事が出来ました。暑い中、銀座まで足をお運び頂いた皆様には、深く感謝申し上げます。今まで十数回開いた個展の中で、最もご来廊のお客様が多い展覧会となりました。
お客様が重ならない時間帯の時は日曜美術館ばりに解説させて頂きましたが、大人数が重なってしまった時はあまりお構いもできず、ご無礼をしてしまった方もいらっしゃいます。タイミング悪く失礼を致してしまいました方、この場を借りてお詫び申し上げます。

昨日のトシも言っていましたが、よく作品と作家のギャップに驚かれます。絵から分かる通り、実はナイーブです。本当です!心の機微に疎い振りをしているだけです。
ご高覧頂きました方には心より御礼申し上げます。
これからも講師以外の制作も精進していく所存です。皆様ありがとうございました。

画廊ツアー


お久し振りです!アトリエには貴族や華族も多い(?)ということを知った農民出身のトシです!こうすけ先生(農民)、一平先生(農民)をはじめ、私のブログを楽しみにしているみなさんが、きっとしびれを切らして待っていたであろうことは申し訳無く思います。

先日の7月30日は学生クラスのメンバーでノリ先生の個展を見学&その近辺の他の画廊も回るツアーに行ってきました!メンバーは中1から大学生までで全部で7人。こんなチャンスはそうあるものではないのに休むなんてアリエナイ!

先生の作品は絹(古い着物の裏地)に墨で絵を描く(専門的知識がない為こんな乱雑な説明ですいません)というものです。独特のにじみやぼやけをただぼんやりと眺めるだけで絵画の美しさを感じられるし、鮮明ではないからこそ、鑑賞する人によって解釈が変わるのも面白いなと思います。
自然の風景が多かったのですが、決して「絶景」というような壮大な感じの風景ではなく、人が立ち入らない静かな風景が印象的でした。さらに、そういった静かな空間の絵の中に水が流れていると、動きが加わって絵の雰囲気がガラリと変わります。もしただの湿原や草地だったら単調な絵ですが、川があるからこそアクセントが効くし、感情が湧いてきさえするように思います。

また、一人ではなく大勢で行くと他の人の解釈も聞くことができます。個展ツアーでは毎回(強制的に)自分が気に入った作品の感想を述べるので、自分、友人、作者の三観点から話を聞くことが出来ます。自分と他の人の考えが合うこともあるし全く正反対に観ることもあります。でも美術には正解はないのですから(学校のテストはそうはいきませんけど)自由に絵を解釈できます。それはやはり鑑賞の面白さではないでしょうか。

さて、真面目くさった話を延々としましたが僕が最も強く感じたことは「どうしたらこんなにも繊細かつしとやかな絵を描くことが出来るのか?」ということです。美術の技能がある方でも敢えてこういった作品を作る人はそう多くない方で、あんなにもタフでドロドロの作業着を着るような、繊細さとかそういったこととは全くかけ離れているノリ先生がどうやったらこんな絵を描けるのか。とにかくそれは疑問でしかありません。本当にアトリエと画廊では別の人のようです!

そして画廊見学では知らないクラスの人とも仲良くなれます。僕が(一方的に)仲良くなった方が貴族だったというのが判明したのでびっくりです。貴族なんだからブログぐらい書けや!

蠱惑的世界


當山 日本画(岩絵具)

皆様お元気ですか。土曜日の人、岩田です。

今回は、土曜午後クラスに通われている當山さんの作品をご紹介します。
初めての岩絵具に挑戦した當山さん。率直にいって描画材が変わっても、その素材に上手く順応し作品に仕立て上げる力を持ち合わせている方だと今回も感じました。

選んだモチーフはランチュウ。調べてみると和金を品種改良してこのような形態になったとのこと。人間というものは中々奇妙な生き物を作り上げるものだと感心してしまいますが、日本画のモチーフとしてはその不格好な姿が不思議と絵になります。

當山さんの作品も紺色を基調とした背景に赤白模様のランチュウの存在が何とも言えぬ独特な雰囲気を醸し出していますね。
ぷくりと膨れたお腹周りも鱗の下に置いたパステルトーンの絵の具が白の下から透け出し、とても面白い効果を生んでいます。
岩絵具を始めて触ったとは思えない位、巧みな描き方をしているのです。
眼の辺りなどは、色鉛筆を使って描いているのですが、こうした細かい部分はご本人にとってはお手のものでしょう。

ここ最近の作品は、當山さん独自のある種蠱惑的な世界観がストレートに画面に現れ始めていると感じています。
これからも自身の審美眼を通して、美しくも怪しげな世界を表現していって下さい。