優しい光


増村 油彩

小学生の時にピアノをやっていたと言っても信じてもらえません、一平です。
今回は水曜夜間大人クラスの増村さんの油絵をご紹介します!

少し朽ちているような印象の壁に女性が座り込みチェロが横たわっています。この女性はロシアのチェロ奏者のソロ・ガベッタという方をモデルにしています。
薄暗い空間の中を大きく黄色い壁面と青い床面に分割しています。実際は冷たい印象の打ちっぱなしのコンクリートですが、青などの寒色の他に緑・紫などの中明度の色、更にはイエローオーカーやオレンジ、ピンクを入れています。床面にも黄色のような暖かい色が入っていたり、と様々な色彩が散りばめられています。現実では全部同じモノトーンのはずが、表現者次第でこんなにもたくさんの色を使えるのがやはり絵の良いところですね。画面の全体的な明度は少し暗く見えますが、とてもポジィティブな印象を受けます。

そしてこちらの絵、なんといっても光が素晴らしいです!光の方向が分かりやすいのはもちろんですが、ここまでたくさんの色を使っていながら濁らず、明度が崩れないで光を保てるというのはなかなか出来ることではありません。
光は全てのものを視覚化する現象であるとされていますが、絵において光は現象ではなく表現する道具として使われてきました。見せたいものを強く見せるためのスポットライト的な光、全体を淡く表現するために曇り空の時の太陽のような弱い光、今回の増村さんの油絵も寒色の空間に優しい暖かい光を描くことによって全体の印象、さらには女性とチェロのパートナーのような信頼関係まで感じ取ることが出来るのです。

普段皆さんが絵を描く時「どんな色を使おうか?」、絵を見た時「この人はどんな色を使っているのかな?」など「色彩」で見たり、考えている方がいれば、次は「光」で見てみるのはどうでしょう。様々な光をコントロールできれば、色彩とはまた違ったアプローチで絵を描く事が出来ますよ!