
出町 『一版多色刷り』 木版・ポスターカラー
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは日曜大人クラスの出町さんの版画の作品です。夏の終わりを見送ってくれるようなこちらの向日葵は、日本画家・鈴木其一の向日葵図を見ながら制作されたものです。
なんといっても、真ん中に大きく置かれた向日葵が眼を惹きますね。ど真ん中、左右対称の構図は安定しすぎてつまらなくなってしまいがちですが、出町さんの場合は版画独特の絵具の表情が大きな魅力となっているので、絵としての面白さは全く損なわれていません。(ちなみに、鈴木其一の元の作品はもっと茎が長く、細長い作品です)
中央の種が密集している部分の丸く掘られた部分が、花脈や葉脈の線の中でアクセントになっているのも非常に面白いですね。版画の表現にとてもマッチしています。
ひまわりの蕾も、緑色の小さなかけらが集まっているようで、脇役ながらも充分な魅力を備えていますね。また、奥の葉の絵具を少なめにして薄く刷る事により、平面的な表現の版画でも前後感を出す事ができていますね。隅から隅まで見所が多くあり、鑑賞する度に新しい発見がありそうです。
現在も続けて鈴木其一の原画を元に版画を制作されています。向日葵とはまた違った魅力を持つ花ですので、どのような作品になるのか今からとてもワクワクしております。