思い返す絵画

Nagase_19永瀬 アクリル

本日は、水曜午前大人クラスより、永瀬さんのアクリル三枚をご紹介します。とれも素晴らしい色彩に彩られています。

写真左 モディリアニの人物画をモチーフにした作品では、模写でありながら自画像というとても面白い試みをされました。
元にした油絵はモディリアーニが晩年に描いた、かなり肉感的な作品です。すらりとした永瀬さんらしさを加えるには、少しそこを抑え目にしなくてはなりません。しかし、髪をふわりと柔らかい銀色に変えた途端一気に永瀬さんらしく変化し、表情もそうですが、ミステリアスな魅力も表れていますね。今回は背景がとても深いグリーンです。沈みすぎないよう、色の配置に苦心しました。帽子にちらりと入った紫などが、しっかり仕事をしています。
写真右上 紫式部を描いた作品なんて、とてもおしゃれでどこに飾ると素敵かしら…なんて考えるだけでもワクワクしてしまいます。
写真右下 永瀬さんは故郷の海の風景をよく描かれます。元の写真もとろけるような色彩でとても美しく、このような景色がこのセンスを育んだのだなぁと感嘆します。
どの作品もとても美しい色彩ですが、油彩でこの様な暗い背景を描くとやはり油の光沢が加わり重い印象になっていきます。それも良いものですが、アクリルのマットでカサついた絵肌は、永瀬さんの作品にとてもあっている様に感じます。掠れるようなタッチと、朦朧とした色彩と印象。どこか夢の中や昔の良い思い出を思い返す時のようなイメージが強く伝わってきます。

水曜午前クラスの中でもかなり多作な永瀬さん。これからもどんどんと描かれる世界が楽しみでなりません!