油絵の良さとは

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どうも幸介です!先週まで6年生の個人講評で長々と文章を書いたので、今日はまだ紹介しきれてない油画の完成作品達を一挙に、かつシンプルにご紹介!

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今回は例年よりもアカデミックなモチーフでしたが、シンプルかつドラマチックに仕上がりましたね!

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視点によっては、けっこう難しい位置もあったかも。しかし相変わらず構図が美しいですね!
そして今回の完成作品の中でもかなり気に入っていますのがこの4枚!↓

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年齢も性別もバラバラな作者達ですが、皆に共通して言えるのが「自分の意思は曲げない!」というスタンスの持ち主ということ。作品もカラっと突き抜けてて気持ちがいいですね!

そんなわけでしばらく続いた平面課題も一段落し、今週から小学生クラスでは久々の立体課題「宝箱作り」が始まっています。今月はパーっと、平面の鬱憤(?)を立体工作でダイナミックに発散していきましょう!!

田中幸介

ベテランのこだわり

Suiroku

酒井です。昨日今日と、武蔵野美術大学はオープンキャンパスがありました。今年からムサビでは作品展示や公開講評の他にワークショップに力をいれていて、特にクラフト系を扱ううちの学科ではガラス工房でサンドブラスト、金工工房でアクセサリー作り、木工工房では箸作りなど、無料でいろんな工作が出来るのでなかなかの賑わいでした。近所に住んでいる方が子供連れで遊びに来たりもしていました!機会がありましたら是非、来年足を運んでみて下さい!

さて今日紹介するのは、水曜クラス5、6年生の油絵です。高学年ということで、やはりみんな形をとるのに慣れてきているなぁという印象です。どれもしっかりとモチーフの見える構図になっていて、果物の陰影などは特に、かなり暗い色をのせて自然で綺麗な立体感が出てきています。林檎や洋なしなどは静物で描かれるモチーフの中でもメジャーなものですが、だからこそ、それぞれの描き方の違いが見える部分だなと思います。同じ林檎でも、黒や緑系で濃い影を描きこんでいたり、また茶色や黄色系の色をのせていたりと、違いが見えますよね。

技術もさることながら、金属に写りこんだ色、暗い色の背景も一色で塗らずうっすら違う色を入れてみたり、鏡に映った自分を描きこんでみたり、ベテランだからこその挑戦、独自の工夫をところどころに感じてとても面白いです。水曜クラスは中学受験をするので今年で油絵が最後の子たちもいて、「もう終わりでいいでしょ?全部描いたじゃん!」という声に「この色入れたらすごい良くなるから!あとちょっとだから!」と粘って粘って完成しました。途中「もうこんなの出来ない」と投げ出しそうになった時もありましたが、最後まで頑張って描き切ってくれたと思います。みんな、お疲れ様!次の課題「宝箱」も楽しく制作していきましょう!!

かっこいい!

Abojazz_3英保 油絵

チノです。本日は土曜クラス英保さんの作品をご紹介します。完成した瞬間は見ていなかったのですが、この画像を見て、まず浮かんだ言葉が「かっこいい!」でした。
ブログでは、本文もさることながら、タイトルにも悩む私なのですが、今回は何のひねりも、深さもなく、思ったままにしました。
・・・何故ならば、私の拙い言葉より、絵のほうが何倍も雄弁に語ってくれるからです!
(絵の説明をするのはいつも上手く伝わらず、もどかしいですね・・・)

いつも正統派な描き方で着実に作品を仕上げる英保さんですが、今回は演奏されている「音」も表現するとのことで、下地に鮮やかなピンクを使ったり(今アトリエの大人クラスでひそかなブーム中らいしいですよ♪)、粗いタッチを使って、まさにジャズの「即興」という感じの勢いのある雰囲気が早々に出来上がっていました。それこそ、「もうこのまま完成でもいいのでは?」という雰囲気で。
しかし、そこからじっくり、絵具を重ねていったことで、コントラバスの低音の響きが伝わってくるような、臨場感あふれる作品になりました。
前にご紹介したエスキースともまた違う雰囲気で、絵の面白さを感じます!

嬉しいお知らせ

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萌恵 4年 左『地域イベント用大型かるた「け」の札“K2タウン”』 中『運動会赤組マスコット“火の鳥”』 左『完成したばかりの油絵』

学校で描いた作品が今年に入って日の目を浴びる機会が増えたとの事で、お母様にお願いして写真を送ってもらいましたのでご紹介します。

まずは地域のイベントで大型かるたを作った際に採用された“け”の札で『K2タウン』を描いた作品。
その隣は運動会で赤組のマスコットに採用された『火の鳥』。(写真作品の原画が萌恵の絵で、それが採用され上級生が運動会用に大きく貼り絵などして、写真のように完成させた作品だそうです。)
もうひとつ写真はありませんが、学校の校舎の一部にタイル画を設置することになり、『二ヶ領用水の風景画』が採用されたとのこと。

絵はコツコツ制作する作業だからこそ、他人から評価してもらえるというのは何よりのご褒美ですよね。
一人の楽しみだったものが、みんなを喜ばせる手段になるなんて、嬉し過ぎます。私も鼻が高いってもんです!(親バカ発言)

穏やかに見えて強い意志と高い志を持ち、こちらのアドバイスも自分が納得する説明がないと簡単には筆を動かさず、鋭い質問を返され「もしかして試されている?」と頭を掻くことがしばしば。彼女を前にすると大人のウソや曖昧さを反省します。(私は田中先生と違って子どもにウソもホラも言います!)
今回の評価も、いつも優しい色使いで丁寧に制作する様子、まっすぐしっかり絵に取り組む姿勢が認められた結果でしょう。
萌恵の今後の成長がますます楽しみになりました。   オバラ

季節を楽しむ

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親子クラス

雨降りの多い季節ですが、雨露に濡れより一層美しく色づく紫陽花は、どんより景色の中に一段と目立ちますね。
紫陽花の花は、咲く場所の土壌の種類によって変わるそうですが、街角でも色とりどり目を楽しませてくれますよね。

親子クラスでは、いつも制作の前に作品のイメージにつながるような絵本を読んでから制作が始まります。
この日はそれにプラスして、本物の紫陽花を目の前にしてお花を触ったり、花の形や色の話など、この季節にしか出会えない紫陽花を親子で楽しんでもらいました。

紫陽花の花の部分は、タンポに絵の具をつけてリズミカルにスタンプ遊び。
葉っぱは、本物の葉に絵の具をつけてスタンプすると、葉脈がくっきり浮かんで作品全体がひきしまります。
スタンプする力加減や画用紙に押しつけるスピードの違いによってお花の印象が少しずつ違って良さがでてますね。偶然にできた淡い混色の美しさなど、どの作品もとっても素敵でしたので、2・3歳児が制作した全作品の写真載せちゃいます!

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紫陽花の上にのっているカタツムリ達も可愛いですよね。
細長い画用紙2枚で作れてしまう簡単な工作なのですが、このカタツムリ制作は2~3歳児には終わりがなく時間ギリギリまでいくつも作っていました。
それにしてもカタツムリ・・・最近なかなか見かけることなくなってきましたね。

<次回親子クラス>
6月28日(火)10:30~11:30

伊藤

一歩成長!

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赤尾です。今日は水曜クラス3、4年生の油絵作品をご紹介します!
勢いある1、2年生から一歩成長し、ちょっぴり大人っぽい技術も必要とされる3、4年生。若さ故の勢いだけでどうにかできる年齢からは少し成長しており、けれども自分たちの実力以上にお兄さんお姉さんな役割を要求される・・・実は一番中途半端で難しい年頃かもしれません。
水曜小学生クラスの3、4年生は一年生の頃からアトリエに通っている子が多く、皆とても強いこだわりを持って制作しました。
背景が暗い森のイメージでグラデーションをつけたり、鏡に映る林檎と実際に見える林檎をよく観察して変化をつけたり、カゴの網目をじっくり観察したりとその観察眼やこだわりは低学年の頃には無かったものだと思います。
今回講師が口出しした以上に、自分なりの絵に対する思い入れを感じることができ、成長したなあ!と実感することができました。
技術はまだ目指したいイメージと今自分が描けるものの差に苦しんだこともありましたが、これは大人だってよくあること!!
どんな絵を描きたいか、その目標があってこそ素晴らしい作品への第一歩ですので、今回のこだわりを失わずに高学年まで制作を続けて行きたいですね!!
1、2年生のころはふわふわしていた彼らも、今では下の学年の子の面倒をみたり、率先して片付けや掃除を手伝ってくれたりとお姉さんお兄さんらしくなってきました。
絵の成長と共に内面の成長も実感させられる、油絵は一年の節目になる課題だと思います。
これから一年みっちり学んで身に付けた観察眼や技術をひっさげて、来年の油絵にもこだわりを持って取り組んで行きましょう!楽しみにしています!

スイスからのレポート

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石川です。
今私はスイスのバーゼルに来ていて、現地のホテルでブログをうっています。時刻は深夜3時(朝方の僕としては考えられないほど深夜)多分、時差が7時間なので、そちらは午前の10時ですね。おはようございます。
今回の旅行の目的は、世界最大級のアートの美術展覧会のひとつであるヴェネチア・ビエンナーレを見ることです。
ヴェネチア・ビエンナーレは100年以上歴史のがある、国際的にとても権威のある大規模な現代美術展です。世界各国のパビリオン(日本館とかインド館とかスイス館など)と数十カ国地域の芸術家達の作品で賑わいます。
これは2年に一度開催され、各国はベネチアの公園に設けられた会場で自国の作家を紹介し、その中から優秀作家が選ばれるという、いわば美術のオリンピックのようなものです。ちなみに今年の日本代表作家は束芋です。女性の作家で、アニメーションを表現手法としています。
私が今バーゼルにいるのは、バーゼルでもアートの祭典があるからです。その報告は来週します。では失礼します。

油絵通信簿:後編

どうも幸介です!今週も先週に引き続き、小学生クラス6年生の最後の油絵を、彼らとの思い出とともに個人講評していこうと思います。普段小学生クラスの内情を見ることの出来ない親御様方に、彼らがアトリエでどういう空気の中で過ごしているかを少しでも感じていただければと思います!!

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左:花音(6年)
1年生の時からアトリエに通う彼女は、入った当初からすでに、低学年にして6年生と気が合うような少し大人びた印象でした。アトリエでも僕ら講師の指導に「絵の具を混ぜるのめんどくさーい」とか「もう完成でいいんじゃない?けっこう頑張ったし」とか「ノリ先生も幸介先生も指摘が細かすぎるんだよもう!!」とか、嫌々(?)ながらも作品を完成させる日々。そんな言動とは裏腹に、アトリエを休むこともほとんどなく今年で6年生。ほんとはアトリエが大好きだってこと知ってんだぞ?というわけで、細かな指導にめげることも無く、言動だけでなく作品もずいぶん成長しました。最近では自分の作品をどう完成させたいのか、自ら目標も密かに掲げているようです。…実に頼もしい!!さすが随一の天の邪鬼クラスである月曜に通い続けただけのことはあります。最近では、大人げない僕やノリ先生をたしなめるなど、ますますしっかりしてきた印象。今後もよろしくね。

右:実希(6年)
花音の紹介でアトリエに4年生のときからアトリエに通いだした彼女は、独特のけだるさが売りです。フニャっとした言動で笑顔を絶やさず講師に「ここはもう塗りたくないんだよー。完成にしようよー。」と甘えてきますが、毎回ノリ先生や僕にズバっとダメだしされてしまいます。しかし、そのダメだしは、実はフニャッとしたように見えて、彼女の中には「こういう作品を完成させたい」というものが、うっすらと芽吹いているからなんです。だからいっつも、指導も追加注文につぐ追加注文で、なかなか作品の完成に時間がかかってしまいます。でも絵を完成させると自ら「ちょっとちょっと早くもって帰りたいんだけど」と名乗り出るほど満足げ。今回の油絵も背景色やモチーフの陰影など、かなーり沢山の追加注文を僕とノリ先生からもらっていましたが、今日油絵を持って帰るときには授業終了15分前くらいからずっと絵を握りしめていました。そんな姿を見れて僕も満足です!

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左:智弥子(6年)
彼女は幼児クラスから通いだして、いったい今年で何年目!?最近はずいぶん大人になり口数も少なくなりましたが、制作に対する姿勢やこだわり、その情熱は収まりません。昨年の10月に、当人から「来年の6月に引っ越す」と聞き、彼女の成長を6年生の最後まで見れないことを悔しく思いました。「でもまだ半年ある」と思っていたのもつかの間、もう6月になってしまいました。今回の油画が、アトリエで作る最後の作品となりましたが、昨年までのファンタジックな色調から打って変わってこの静かながらも激しい作品!!今年の作品で彼女の成長を目の当たりにしたような気がします。本人も忘れているようですが、ノリ先生曰く低学年の頃は「アトリエやめてピアノ習うんだー」なんて言っていたとか。アトリエを続けてくれたことに感謝します。彼女なら引っ越してもきっと絵を描き続けるんだろうなと、僕は思います。

右:宇明香(6年)
最初に会ったのは、彼女が2年生の時に火曜日クラスにヘルプで出た時のこと。それ以来合うたびに「なんでそんな髪型にしちゃうの~」とか「ゾンビの服なんて趣味おかしいよ!やだもう!」なんて僕に言ってきていましたが、毎回彼女の目は興味津々で輝いていました。そう、彼女は好きな人を前にすると気持ちと逆の事を言ってしまうタイプなんです(そしてさらに気持ちが顔に出るタイプでもある……こんなこと書いたら怒られそうですね…)学校の授業との兼ね合いなどで色々なクラスを点々としてきましたが、どこへ行っても誰とでも分け隔てなく接することが出来、体験授業で緊張気味の子にも「よろしくねっ!!」とやさしく声をかけるなど、場の空気を持ち上げることの出来る素敵な子です。作品作りが思うように行かずに悔し涙することもあるけれど、その負けん気が何より必要なものですので、持ち前の心の強さでこれからも乗り越えていってください!

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一平(6年)
彼がアトリエに入ったのは2年生の時のこと。僕もまだまだ新人で木曜クラスを半年ほど見た程度な時に、小原先生が「小学生クラスお任せしました~」と1ヶ月間の海外旅行でアトリエを留守にしてしまった時に彼は体験授業に来て通い出しました。「ノリ先生のいない今、責任はすべて俺にあるし俺がとる」と、アトリエに慣れずに緊張気味の一平に対し、試行錯誤したのを覚えています。2年生の時に一度チョークスリーパーをかけられるのを許したのをきっかけに、もはや今では緊張がほぐれるどころか、お前は兄弟かというぐらい毎週僕に飛びつく・よじ登る・わりと強めにチョークスリーパーをかけるなどなど、緊張とはまったくもって正反対の関係性となってしまいました。そして前は僕におぶさってばかりだったのが、今ではもう「俺もう先生のこともおんぶ出来るぜ!!」と頼もしく成長しました。少しお調子に乗ってしまう時もあるけれど、絵に向かう時はいつもしっかり真剣です。そのまま、彼のままで突き進んでいって欲しいです。

…というわけで先週につづいて6年生の個人講評でした!!っていうか個人講評っていうよりもほとんど油絵には触れずに9割思い出話になってしまいました。今の優秀な講師である僕があるのは彼らのおかげです。新人の僕を鍛えてくれた彼らには感謝しています。先週は「卒業式で涙する~~」なんて言いましたが、これは感慨深くなってる場合ではありませんね!!今後も精一杯悩みつつ、彼らに恩返ししていこうと思います!!

田中幸介

子供の頃から変わらない

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今週末のオープンキャンパスに向けて必死になっています、酒井です。今日は火曜クラスから、3、4年生の作品を紹介します。3,4年ともなると油絵を数回経験してきている子も多いので、流石の完成度!鮮やかでカラフルな色合いの中にも、ドキッとするような大人っぽい色彩が混じっていたりします。子供の頃ならではの大胆さ、奔放さはもちろんあるのですが、「ここはこっちの色がいい!」「こっちより先にこれを描きたい!」と主張したり、説明をきちんとすれば理解してくれる、小学生ってこちらが思っているよりもずっとずっといろんなことが出来るんだなぁと気づかされました。

同じモチーフを描いた作品でも、人によって全く雰囲気の違う作品になるのでもうこの歳にして・・・この歳だからこそ?個性がガンガン出ているなぁと思います。私も小学生の頃に描いた油絵を、どうしてとっておかなかったんだー!と、今回の小学生たちの作品を見てとても後悔しましたが(油絵のキャンバスは場所をとるから、ということで捨てられてしまいました・・・。)そういえば昔も大胆に色をのせてどんどん描いていくタイプの子供ではなかったな・・・と思い出しました。人間根本的な部分は小さい頃からそうそう変わらないものなのかもしれませんね。

異素材のたのしみ

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普段の制作よりも、慣れない画材で時間のかかる日本画制作ですが、小川さんは、F4サイズの少し小さめのパネルに和紙を貼り、4回の授業で仕上げました。写真ではわかりにくいですが、背景は、墨でグラデーションをつくり、その後に岩絵具をさらっとかけて仕上げる等、なるべく少ない手数で仕上げていったのです。
睡蓮の花びらの透けた感じや、すこし発光しているようにみえる神秘性もよい雰囲気で表現されています。

日本画は、主に岩絵の具を使って描きますが、箔(金属を薄くのばしたもの)も使って表現する所が魅力のひとつであると思います。箔も、ただ貼るだけではなく、この絵のように一部にだけ意図的にまくことで、何か象徴性が高まったように感じませんか?さらに、雄しべの部分に金箔が、そして上に行くにつれて銀箔に変化しているのですよ~!
箔の作品は、光の反射などの関係で写真だと良さがあまり伝わらないのが残念ですが、「実物観なきゃ良さはわからないのよ」と、お高くとまった感じ(?)も私は好きです(笑

「金属と岩で出来た絵」でこのやわらかな表現が出来るのですから、
不思議で、魅力的で、やめられません!日本画は♪

チノ